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  [企業訪問] 花の部屋


 

 
  花で「一期一会」の縁をつなぎたい

花の部屋 チーフ 宮下真由美さん



花屋さんの娘として生まれたものの、自身は大学を卒業してから堺で英語の講師をしていて、まったく花にはかかわってこなかった、という宮下真由美さん。しかし、「いずれ花屋をやることになるんだろうな、とは思ってた」と自分でおっしゃるとおり、ご両親や妹さんたちと「花の部屋」の運営をするようになって5年半、次々と新しいものやアイデアを取り入れ、「お花屋さん」の可能性を広げていく実行力は、しばらくの間、外から「花屋」という仕事を見ていた経験の賜物なのかもしれません。









宮下真由美さん











 



●お客さんとの話から、贈る花のイメージがわいてくる

 日頃、誰かにお花を贈ろうと思うたびに感じていたこと「花束って、作ってもらうの難しいですよね。花の名前とか知らないし、なんとなくこんな感じっていうのはあっても、それをどういうふうに伝えたらいいのかわからないし」と尋ねてみました。

  「そうですね。こちらも、お客さんがおっしゃることだけ聞いていたら、イメージがつかみにくいことがあります。だから、お店に来られた方なら、店頭の花を実際に見ていただいて『これを入れてほしい、これはやめてほしい』と具体的に選んでもらうこともあるし、贈る相手の方について、『いつもどんな感じの服を着ておられますか?どんなアクセサリーがお好きですか?』と尋ねているうちに、そういう方ならこんなお花がお好きじゃないかな、こんな花束が似合うかな、とイメージがふくらんでくるんです」。

  自分では気づいておられないけれど実は花やアレンジにこだわりのある方だったり、口べたな方だったりすると、満足していただける花束ができあがるまでに1時間近くかかることもあるとか。でも、それだけに、「できあがった花束を見て喜んでくださるお客さん」の姿を見る喜び、はまた格別!だそうです。



●「みんなに支えられている」この気持ちを共有したい
 
 質問にじっと考えこみ、かと思うとちょっとしたジョークに「あははっ」と元気に笑う宮下さん。表情豊かな様子は、話しているだけでこちらも楽しくなってくるぐらいですが、つい最近、子供さんの保育園の園長先生に「『宮下さん、変わったわあ』と言われたんです」とのこと。今の雰囲気からは想像もできませんが、「もっと殺伐としてて、ツンツンしてたと思います」とおっしゃいます。

  子供を育てる中で、「自分だけではどうにもできないこと」が本当にたくさんあり、そういう時に、ご両親や友達、保育園の人達、地域の方々…いろんな人に「助けてもらってると実感することがすごく多くて」「自分にはない、もっと素敵なところを持っている人がいっぱいいて」、この気持ちを自分だけで抱え込むのではなく、まわりの人にも伝えたいという思いが強くなっていったそうです。

  「人って、イヤだなと思ってると向こうもこっちを嫌いになるじゃないですか。いいところを見つけて、その視点で人を見たら、その人も好意を持ってくれてつながりが増えていくと思うんです。私の感じた喜びやうれしさを伝えることで、その人もうれしくなってくれる。そんなふうに、『気持ち』が伝わっていけばいいなあ、って」。宮下さんの作る花束やアレンジメントにはそんな思いがこもっています。



 


「花の部屋」さん外観。かどっこにあるかわいいお店。








●「感情の盛り上がり」の連携プレーが生み出す「人の輪」

  インターネットで花束やアレンジメントなどの注文ができる。そこまではよくあるサービスですが、「花の部屋」さんがひと味違うのはここから。

  まず、注文した方に、「こんなお花を贈りました」と、画像をメールで送信します。ネット上では、来店しての注文とは違い、細かく花を指定することができません。「ピンク系の」「季節の」など、大枠を指定してあとは花屋さんにお任せ、となるので、贈られた人から「花束ありがとう」とお礼を言われても、どんな花が行ったのかわからないというモヤモヤ感がぬぐえません。お客さんのそういう気持ちに応えたのが、「画像を送る」というサービスです。これなら「きれいなお花をありがとう」とお礼を言われたら、「きれいだったでしょ。あなたにはこの色が似合うと思ったのよ」などと話もはずむでしょう。 次に、そのメールの最後に、「よろしければ、お客様(ご依頼主)やお花をもらわれた方の感想をお聞かせください」とひと言入れるようにしました。すると、「想像以上にきれいにしてもらった」「こんなふうに喜んでもらった」「こんなこと言ってた」と返信をくださるお客さんも多く、そこでまた「宮下さん〜注文主さん〜贈られた相手」というつながりが生まれました。

  宮下さんが考えていたのとはまるっきり違うところで喜んでくださっている方もいて、それが次のアイデアの元になるとともに、なによりうれしいのは「注文主さんが、『この話を宮下さんに教えてあげよう』と思ってくださる“感情の盛り上がり”」。お花をもらったことで、贈られた方の感情が動く、その盛り上がった気持ちを注文主さんに伝えることで今度は注文主さんの感情が動き、その言葉を宮下さんに伝えてあげよう、とメールを送ってくださる。そこには“感情の盛り上がり”の連携プレーがあります。喜びが次々と伝わって人の輪ができる。「その輪をどんどん広げていきたいんですよね」





2012年の「日本フラワーデザイン大賞」
三位に入賞した実力の持ち主。






●「サービス」で喜んでもらいたい

 「お花を贈ろう」と思い立つ気持ちや時は人によっていろいろ。二つと同じものはありません。その気持ちを表現する花だから、同じものはありえない。だから花は「一期一会」だと宮下さんは考えています。その縁をさらに深めるのが「サービス」。例えば、「配達時間を事前に知らせてくれた」「海外からの現金書留での注文を受け付けてくれた」など、どれも、お客さんから寄せられた感想を読んで初めて「こんなことでこんなに喜んでもらえるの!」と宮下さん自身が驚いたほどだそうです。

 でも、「きれいなお花だった」とだけ言われるより、そんな「サービス」で喜んでもらったほうがうれしいかもしれない、と宮下さんが自分の心の中を探るようにしながらおっしゃったのは、それが、相手の気持ちに寄り添い、しっかりと「つながり」を作った結果だったからではないでしょうか。「それが仕事だから」「義務だから」やるわけじゃない。お客さんが喜んでくれたら自分もうれしいから、そうする。自分がポジティブに動いていれば、周りも気持ちを弾ませてくれるのがうれしいから、やる。

  「そのほうが自分もうれしいし、やりがいがあると思うんですよね」と、宮下さんの胸の内には、まだまだお客さんに喜んでいただけるサービスがいろいろ隠されているようでした。






「プレゼントしたりされたりするお花の名前が知りたい」
というお客さんの声から生まれたサービスのひとつ。


●デジタルとアナログの両方を上手く使って

 独自のホームページを持ち、ネット販売もしておられる「花の部屋」さん。facebookページも開設したり、宮下さん自身「北摂R30」のustreamにも出演するなど、デジタルも使いこなしておられる一方で、店頭にチラシを置いたり、「マチゴト」紙に「心の花束」という「花がつなぐ縁」をテーマにしたエッセイを連載したりと、アナログ方面でのアピールにも熱心です。

  「店舗にしかない良さ、ってすごくあると思うんです」と、軸足はしっかり店舗に置きながらも、「待っててもお客さんが来てくれる時代じゃない。『こんなことやってますよ〜!』って大きな声で言うことも大事かな、って」デジタルとアナログ両方の良さを使いこなしていきたいと、現代の花屋さんならではの探求もおこたりません。

  女の子の「あこがれの仕事」ベストテン常連の花屋さんですが、ナマモノ相手の仕事だけに、室温を上げるわけにいかないので寒かったり、ロスがつきものだったりと、経営・運営は見た目のように美しくはいかないのがつらいところ。

  しかし、「今一番欲しいものは?」という質問に、「体力。全然寝なくてもいい人っているじゃないですか!」と意気込んで答えてくださった宮下さんは、この大変な時代を乗り越えて、「花」を媒介にした人と人とのつながりを作り続けていく気マンマンだとお見受けしました。






「素朴で小振りな花束」というリクエストに応えて、
ささっと作っていただいた花束
 



 取材の後、「お客さんの立場からの話が聞けてよかった。こちらもすごく勉強になりました」とメールをくださった宮下さん。雑談のように話していた「花言葉って知ってたらおしゃれかも」という言葉を耳にして、「こんなこともしてるんです」と、店の外に備え付けられた「花についてのミニ図書館」(花言葉の本もありました)に案内してくださったスタッフの方。お仕事を続けながらさりげなく気遣ってくださっていたご両親と妹さん。「プレゼントだけじゃなくて、日常生活にちょっと花を、って気持ちで来ていただきたいんです」という皆さんの気持ちがそのまま形になったような「花の部屋」さんになら、「ガーベラ1本ください」と気軽に入っていけそうです。


2012.4.27取材 八代田(ライター)


お店の外側に作られた「ミニ図書館」。
花を身近に感じてもらえたら、というスタッフのアイデア。



 花の部屋 (宮下真由美さん)
 HP: http://www.hananoheya.com/
 所在地: 豊中市本町4-1-28
 TEL:06-6848-1187
 営業時間:9時〜19時
 定休日:火曜日





 
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