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  [企業訪問] ハンドメイド工房 アルティアーノ
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  手を抜いたら、一番苦しむのは自分。
  だから、今自分ができるすべてのものを、その「モノ」に注ぎ込む。

ハンドメイド工房 アルティアーノ 代表 早川敏孝さん



岡町商店街を東に抜け、アーケードが終わる手前・南側の「桜塚ショッピングセンター」の2階。100円ショップやリサイクルショップと並んで、洒落たバッグが陳列されたこぢんまりした店があります。皮革製品のオーダーメイドだけでなく、ブランドバッグの修理やリフォームをしてくれるという「アルティアーノ」は、イタリア語で「職人」「匠」という意味。「1点もの」を作ることを志して35年という早川敏孝さんは、終始にこやかに話してくださいましたが、芯には、「いいものを作ること」に厳しく、人には譲れない熱い気持ちと高いプライドをお持ちとお見受けしました。



 





早川敏孝さん
 

●大量生産品から「1点もの」へ

 それまでは「サラリーマンやったり、喫茶店やったり」していた早川さんが、「自分でものを作って売る」ことに目覚めたのは27歳の頃。当時のガールフレンドが、「星の砂」(昭和50年ごろ大流行しましたね)を瓶に詰めて自分で絵を描き売り出したのを見て、「面白そうやな」と思ったのがきっかけ。おりしも、「ファンシーグッズ」の全盛期。可愛い小物を、内職の人達も使って大量に作り、久宝寺町などの卸問屋に卸すという仕事を始め、かなりの規模の会社に育て上げましたが、やがてバブルが崩壊。ファンシーグッズのブームも下火になり、問屋の倒産も相次いで自身もかなりの損害を被ったとき、早川さんの気持ちは、「大量に作って大量に売る」ものではなく、「世界に一つしかないオリジナル」に向いていました。





このバッグを作るのには12枚の型紙が必要

●「見て学んだ」オリジナル作り
 
 仕事上で知り合った職人さん(メーカーから1点ものの制作を請け負って、メーカーに納めていた)に、「教えてほしい」と頼んだものの断られて、早川さんが取った手段は「ひたすら見る」こと。約半年、その職人さんの仕事場に毎日出かけ、とにかくひたすらじっとその人の仕事ぶりを見続けているうち、「何をどうやればいいのか、がわかった」。モノを作るためのベースとなる、デザインしたり、型紙を作ったり、という工程はファンシーグッズを作っていた時に経験済み。あとはやり方だけだ、と考えていたそのやり方をつかんだ今、「あとは自分の努力次第」。今、そんな若者がやってきて「半年、仕事を見せてくれ」と言われたら「ジャマやね(笑)」という早川さんですが、それまでの経験と、「実家が手作りの仏壇屋やったから。家系かな」というものづくりに対するセンス、そして、懐の広い職人さんのもとでしっかり目に焼き付けたノウハウをもとに、自分の工房を持つことになったのです。





カラーパレットを見るような、いろいろな糸
●「リメイク」をアピールポイントに

  師匠とも言える職人さんもバッグ専門ではなかったし、早川さん自身も最初からバッグを作ると決めていたわけではないけれど、漠然と「皮革もののオーダーメイド」と言ってもお客さんはとまどうだろうし、現にお客さんはそんなに来ない。「何か」アピールできるものを、と考えていた早川さんの目に止まったのが、かなりボロボロになった海外ブランドのバッグを、それでも大事そうに持っている女性たちの姿でした。「あれを再生してあげれば、喜ばれるだろうし、お客さんも増えるのでは」。そう考え、早速サンプルの可愛いハンドバッグを作って展示。最初はそれを見て、「こんなのを作ってもらえるんですか?」とやってきたお客さんが、次には、その方のバッグを見て「どこで作ったの?」と口づてで聞いてきた、という方が…と、こうして、もちろんオリジナルも作るけれど、「ブランドバッグをリメイクしてくれる」あまり他に例のない皮革製品工房「アルティアーノ」は、徐々にお客さんの輪を広げていきました。







箔押しをしたり、塗料を塗ったり、       
一人で作業しやすいように工夫された作業場


●リメイクならではの苦労とメリット

 まったくゼロの状態からオリジナルバッグを作るより、リメイクのほうが手間がかかるだろうことは想像できます。形の出来上がっているものを一旦バラバラにするだけでも大変でしょう。早川さんに伺うと、手間だけではなく、「リメイクは失敗ができない」のだそうです。オリジナルで失敗しても、勉強代だと思ってまた材料などを買い直せばすみます。しかし、リメイクの場合、「買い直す」材料はありません。さらに、「こんなバッグにしてほしい」という明確なイメージを持っているお客さんは稀ですから、お客さんの思いを引き出しながら、使える部分を最大限に活かせるデザインを提案しなければならない。頭の中に、「バッグの完成形」が同時にいくつも浮かんでいないと、できる仕事ではなさそうです。

  ひとつのバッグを作るには、小さなバッグでも10枚以上の型紙が必要です。頭の中にある「バッグの完成形」を作るためにはこういうパーツがいるはず、と逆算して型紙を作っていきます。リメイクは仕事でもあり勉強でもある、と早川さんが感じているのは、リメイクするためにさまざまなブランドのバッグを分解することによって、「中の構造」が全部わかる、ということ。このバッグのこの形はこうやって作っているのか、このブランドの特徴はここがポイントなのか、が、すべてわかってしまいます。修理やリメイクの数を重ねることによって、早川さんの中にはどんどんバッグに関する知識が蓄積されていき、さらには、「ブランド」と言われているメーカーのバッグがどのような作り方をされているのか、という真実の姿も見えてきます。超有名(もちろん超高価)なブランドバッグが、中を開けてみれば、お話にならない雑なつくりで唖然、ということもあるそうです。






ミシンの下糸。作業しながら取りやすいように、
早川さん自身が作ったポールに立ててある。
 

●弟子はとらないけれど

 そんな余裕もないし、「一人でやるのが好きやから」弟子などはとらない、という早川さんですが、「皮革職人講座」や「手作り体験」などのいわば素人を相手にしたスクール的なものも開催しておられます。仕事時間を取られるし、手間がかかって面倒なのでは、とお尋ねすると「小さいものでも、たとえ、下ごしらえは僕がやって、ミシンかけてもらうだけでも、実際に自分でやってもらえば、『モノ』というものはどういうふうに作られてるのかがわかる。これだけの手間がかかってるんや、っていうことがわかるでしょう。そしたら、モノの見方が変わってきますよね。バッグを見て、単にキレイやな、と見るのと、これはこれぐらいの手間かけて作ってるな、と思いながら見るのとでは全然違う。いろいろ頭で考えながら見るようになる。そしたら、値段だけの値打ちがあるかどうか、を見る目が養われるようになるでしょう。そういう人が増えて欲しいからやってます」とのこと。

  特に「皮革職人講座」は、今会社員だとしても、やる気のある人なら定年後に店を立ち上げることもできるかもしれない。「職人に定年はないから」そんな人も出てきてほしい、という気持ちで続けているそうです。





革や生地など、材料のストックもいろいろ
●自分の知識と腕のすべてをつぎこむ

  そんな早川さんが常に心がけている、というより、職人ならそれがあたりまえ、と考えているのは、糸止めひとつをとっても、同じ職人が見て「お、やるな」と思われるような仕事をする、ということ。「作ったものを渡して、それでお金をもらってるんやから、自分の知識と腕の及ぶ限りのことはやる。持ってるものは全部そのバッグに入れる」のが当然であり、「それをやらなかったら、手を抜いたことになる。自分が手を抜いたことは、自分が一番よく知ってますから、それで一番苦しむのは自分。結局自分に返ってくる。それがイヤやから、できるかぎりのことをやります」。

  たとえば、切った革の断面はケバ立つものですが、某有名メーカーは、そこに塗料を塗ることでなめらかさをいわば「演出」しているのに対し、早川さんはどんな小さなパーツの断面でも、ひとつひとつ「磨く」ことによって、革本来のなめらかさを引き出すようにしています。「神は細部に宿る」と言われるように、「見る人が見れば分かる」ディテールをおろそかにしないことこそ、職人としての早川さんの誇りであり、喜びとなっているようでした。

 

 オーダーメイド、と聞いただけで「高そう!」と思ってしまいがちですが、「アルティアーノ」の店頭には、1,000円の製品なども並んでいます。手間を考えたらこの値段ではペイしないのでは、と思われるような価格の財布なども。早川さん曰く、「卸とか小売店とかを通さないから、その上乗せがいらない分安いんですよ」とのこと。中でも、ほんの3cmほどの草履型をしたストラップ(キーホルダーも)は、そんなに小さいのに、鼻緒は裏まで通っているし、カカトもちゃんと付いている、しかも、周囲のケバはちゃんと磨いてあります。「ヘタしたらバッグより手間かかってるけど(笑)、これを2,000円にしたら、『高い』と言われるでしょう?」と早川さん。採算が取れないなあ、と思いながらもこういう遊び心いっぱいのものを作ってしまうところが、職人の心意気なのかもしれません。


2011.10.21取材 八代田(ライター)



驚くほど手のこんだ、草履型キーホルダー


 ハンドメイド工房 「アルティアーノ」 (早川敏孝さん)
 所在地: 豊中市中桜塚1-2-3
 TEL:06−6853−6688
 営業時間:10時〜18時
 定休日:木曜日





 
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